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週休2日って素晴らしいですね!
5日しか働かなくていいんですよ!!楽園!!!楽園やんなぁ!!!(ハァハァ)

昨日なんてあまりに暇すぎて「昼寝しかない」と意気込んで昼寝したら起きたの13時間後でしたからね★
本気寝!!!
だいぶ時間を無駄にしたとて、土曜日の次の日曜日が俺おやすみなんよ(*´∇`*)

その余裕が妄想を生み、甘陸話が一個できました。
泣かない陸遜っていいよね!という話です。
パソコン新しいということを失念して、一発で甘寧殿と陸遜がでないことにイラっとしました。
甘陸もいま登録したんだぜ☆

そして以下お返事です!
ありがとうございます・・・・・!!
*シオン様*
一言ありがとうございました!!
暇じゃない平日実にすばらしいです。がんばりますので是非また遊びにいらしてくださいね(゚∇^*)

陸遜は泣かない。
 
 
たとえば、小指をたんすの角にぶつけたとき。
たとえば、上司の文官に理不尽なことで攻め立てられたとき。
たとえば、手入れしていた剣をあしもとに落としたとき。
 
少しは泣けばいいと思う。
今もまさにそうだ。小さな軍旅の軍師に抜擢された陸遜だったが、負けた。敗因はたぶん後ろに蜀の軍がついていたことだろう。武器や馬があちらの質のものだった。完全に盗賊崩れだと思っていた俺らの落ち度だ。
殿とかもきっと小さな反乱軍程度の認識で新米軍師の陸遜に経験を踏ませる気分で任命したのだろう。
呉軍としての完全なる落ち度だ、そんな甘い敵ではなかったという認識違い。
最初の一歩からつまづきがあったというのに、陸遜はいまつまづいたかのように落ち込んでいる。
まとう空気は、めっちゃ重い。
 
泣けばいいのに、と思う。
 
「だーから、いつまで落ち込んでんだよ軍師さん」
「だって・・・・敗退するなんて・・・・不甲斐なさすぎます・・・・・」
そう、うなだれる陸遜の後ろには暗いオーラが立ち込めている。落ち込んでいます、を体現するとだれもみんなこんな感じになるだろう。
あそこでああすれば、もっとはやく軍をうごかしていたら、思うことがたくさんあることはわかる。
ただ、いまそんなに落ち込んでも仕方がない。
完全に撤退したわけではない。
反撃するために距離をとっていわば様子を見ているのだ。
「ここで落ち込んでてどうするんだよ、」
気持ちを切り替えて、あすの反撃に備えるべきだ。
「いっそ泣きわめいてでもすっきりししまえば?」
「?」
俺の声に顔をあげた陸遜は心底わからない、を前面に押し出してきた。
「落ち込むなとはいわねえから、メリハリつけるためにいまは泣いとけ、っつってんの」
くよくよ同じペースでへこんでると明日まで引きずる。
だからいま泣いとけ、言っているのにこのお坊ちゃんは何を言われたのか理解できない顔でまだ俺を見ている。
「お前があんまテンション上がったり下がったりしねぇのはわかってるけどよ、胸ぐらいは貸してやるから泣いとけ?」
「軍師がですか?」
「軍師だからだよ」
「私、陸家の当主なんですけど」
怪訝そうな顔を強める陸遜。俺にはお前のほうが不思議だわ。
「いまはこの討伐軍の軍師殿だろ」
「まあ、そうですけど・・・・泣いていいことあるんですか」
断定するように陸遜はこっちを見た。
「すっきりする」
「はあ」
「お前、悔しいときとか痛いときとかも泣かないだろ。そういうのってどこかで出してかねぇと溜まるんだよ。知ってるか?」
「なんとなく」
このそっけない答えに俺はがっくりしてしまう。
本気でこいつは俺の思う息抜きできない知り合いナンバー1だ。
俺はため息をついて、椅子の上でうなだれている陸遜を抱き上げた。
「うわっ!!何するんですか!!!?」
「手のかかる坊ちゃんだな」
じたばたと俺の腕の中で暴れるが、やはり体格差はどこまでも有利だ。
そのまま抑え込んで、壁にもたれかかる。あまりにじたばたするものだから勢いがつきすぎて壁に強く背中をぶつけてしまった。地味に痛い。
「ちょ、甘寧殿!?あつぐるしいです!汗臭いです!うっとうしいです!」
そりゃあ同僚から抱き上げられた上にいきなりがっしり抱きしめられればあつぐるしくて、汗臭くて、うっとうしいだろうが、いちいち傷つく繊細な俺のハート。
「とりあえず、黙って深呼吸してみ?」
「・・・・・ここで平静になるの、思春期にはすごく難しいんですけど・・・・・」
「大人の階段を登ろうぜ☆」
「登ろうぜ☆じゃないですよ!頭坊主に刈りますよ!!」
とりあえず後頭部を撫でて、ぎゅ、と抱きしめる腕に力を込めた。
「う、」
苦しそうに陸遜がうめく。
静かになると、外で兵士たちが武器の手入れをする金属音や馬のいななきが聞こえてくる。うん、士気は落ちてねぇみたいだ。
後は頭の回復を待つばかりだな。
腕の中の軍師を見れば、悔しそうに眉を寄せている。
「俺はな、お前のアホみたいに責任感が強いところも頑固なところも、一生懸命なところも好きだぜ」
目を見ながら言うとまた暴れだすだろうから、明後日の方向を見ながら話しかける。
「一度負けたらやりかえせばいいんだよ、悔しい、って泣けばいいんだ」
すっかり力の抜けた陸遜のぬくもりは少し弱く感じた。
体温が低いのかもしれないな、とぼんやり思った。
「お前が泣いたって、俺はお前が強いってことちゃんとわかってるし、弱いって軽蔑しないし、いっしょに悔しい、って思うぜ」
ぽんぽん、と陸遜のさらさらとした栗毛を撫でると、陸遜の肩がふるえた。
「俺はお前の部下でもないし、上司でもない。だから安心してみっともないとこも見せていいんだ。肩肘張らないでいいんだぜ、愚痴だってこぼしていい。聞いてやるから」
いままでされるがままだった陸遜の腕が俺の背にまわった。
その腕は俺の予想以上の力で俺に応えてきた。
「かんねいどのぉぉおお・・・・・」
嗚咽交じりのその声は、俺の名前と悔しい、というのをほとんど同時に繰り返した。
 
月が空の頂点をめぐり、だいぶ傾いた後、涙と声を枯らした陸遜と俺は完全に寝不足ながらも、戦場の地図を片手にしばらくの間、作戦会議に没頭していた。
まとまった案を手にした陸遜は、すごくすっきりした顔で俺に笑いかけた。
 
「ありがとうございます、甘寧殿」
 
目は泣き腫らしたおかげで真っ赤で、しかも隈ができていた。
だけど、その顔をなぜか俺はすごくきれいだと思った。
「次はあいつらを泣かせてやろうぜ」
にやり、とあくどい笑みを浮かべてやれば、陸遜もにやり、と笑った。
「次は負けません」
月が朝に代わって、朝飯の煙が漂う。きっと今日は昨日以上に忙しくなるだろう。
「あれ、アニキに軍師様、ずいぶん早いですね」
俺の部下が目を丸くする。
「おうよ、俺と陸遜ですっげぇ策、徹夜で考えたから楽しみにしとけよ」
「次こそはあいつらをめったんめったんにしてやります」
にっ、と笑う陸遜に部下の男は目を丸くした。あれ、軍師様そんなキャラでしたっけ?とでも言いたいんだろう。その視線に俺も口の端をあげて答えてやる。
新米軍師さんはやる気満々で本陣へ歩いて行った。
俺はその後ろ姿を少し誇らしく見送った。
「なんか嬉しそうっスね、アニキ」
「まあな」
俺は俺で、一番うまい飯にありつくためかまどの煙へ駆けだした。
 
あの涙の礼に、一番の働きをしてやろうじゃないか。
 
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