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さまざまな骸のその向こうに、ひどく気高くその旗はそびえ立っていた。
 


おそらく、どの人間の目にも相手方の敗戦はあきらかだ。
兵たちは退路を探すかのごとく右往左往し、将はひとつのほつれを見つけては脱走路を選択する。
もうその軍隊に意思は宿っていないというのに、旗だけが勇敢に、優美に、気高くその身を戦場で主張している。
「あれを操っているやつはよほどのバカか、まれにみる勇者だな」
旗をさして甘寧は言った。
それに曹丕は頷く。
「胆力だけでいうならば、きっとこの戦場の中で誰よりも秀でているでしょう」
旗は軍の象徴である。
兵たちはこぞって敵軍の旗を攻撃する。旗を奪い取ることによって、相手の士気がさがることはもちろんだが、旗は戦勝後の論功賞で大いに加点材料になるからだ。
いま、この戦場は完全に甘寧軍に傾いている。おそらくあの旗には数々の兵士が槍を繰り出し、弓を射ていることだろう。
「あの旗持ち、いいじゃねえか」
そういうやいなや甘寧は馬を駆った。



たなびく旗は、やがて止まることになる。

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たしか年末特番新撰組の土方副長最後の一日の旗持ちがベリーグッ☆ジョブだったと思います。
数々の隊士が倒れる中、きれいに空を舞う旗!
銃創などなどでぼろぼろの体を懸命に使って、まるで旗にすがりつくような感じで旗を振るんですよ!確か!!
その旗があるだけで士気があがり、「まだ俺たち大丈夫だ」っておもえるわけなのです。
その役割とあきらめの悪さとド根性、涙が出るほど大好きです。太鼓たたきも大好きです。

あ、旗持ちエピソード次回に続きます。旗持ちだーれだ、ってかんじでお待ちください。
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あたりには轟々と火が立ち込めている。
侵略軍が城に火を放ったのだ。
純白で整えられた城を火の赤が埋め尽くしている。

風の流れの中、出口を探す陸遜は後ろの甄姫を振り返った。

「姫様、第4庭園に続く道、執務室、どれも敵の手に落ちている模様です」
「そう、もう地下しか残ってないようですわね」
「外に出るには一番安全ですが、途中人目につきやすい回廊を通過することになります」
「私だって多少は剣を握れます。安心して?陸遜」
「ですが・・・・」
言いよどむ陸遜の手をとって甄姫は告げた。

「信じなさい」

陸遜の耳に沈黙が落ちた。
いや、周囲の爆音や剣戟は相変わらず反響を繰り返していたが、確かに陸遜の耳朶は彼女の澄んだ声に支配されていた。陸遜は、その声を逃がさぬように目を閉じた。
「護ります、必ず」
「ええ」

炎の中で二人は駆け出した。
赤々と燃えている炎の先は、何も見えない。
闇に似た、そんな色をしていた。


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甘寧殿が攻め入ってしばらくしたところです。
甘寧軍の侵攻が早すぎたわけではなく、何らかの事情で2人が足止め食らったとお考えください。
ノ、ノープランだなんてそんなことないんだから!(ツンデレ)

甄姫に優しく命令され隊、隊長の五十瀬でした☆
abb6293d.pngあっちに攻めるぞ、仲達 的なソヒさまです。


そう、私は明日お台場あたりを攻めてきます。
主に西のほうを攻めます。

がんばります☆ミ

このために盆休みをもぎとったといっても過言ではありません。


以下、主従パラレルです。

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今日も今日とてその男はやってきた。

「なんなんですか、あなた」

陸遜は眉を寄せ、不審をあらわにした。
男はこの国の王で、陸遜はこの男の国の囚人だ。こうも足しげく姿を見せる理由がまったくわからない。
最初のころは陸遜も全力で拒絶をし、いっそ獄死してやろうとしたのをなんとも乱暴な方法で阻止されてしまった。獄死を試みては阻止され、獄死を試みればまた阻止されて、その繰り返しに陸遜は疲れてしまった。
それからは獄のなかで模範囚のごとく過ごしている。
大赦でもおこって釈放されればいいのに、と常になく弱気なことを考えている。
脱獄も考えたが、とてもできる環境ではない。

(姫様は無事だろうか)

日々、考えるのはそのことだ。
陸遜が知る甄姫とは、これまで見たどの人物よりも強いので大丈夫だとは思うが、不安はぬぐえない。

「お前は本当にあの女のことばっかだな」
なんでわかったのか、男は陸遜の思考を読んだ。
しかし陸遜も慣れたもので答える声には怪訝はなかった。
「姫様を守るためだけに生きてきたのですから当然でしょう」
「あっそー」
「国王様自らなぜこうも毎日囚人の私のところに来るのです?どうやら他の囚人には目もくれていらっしゃらないようですが」

男は眉をあげた。
「なに?わかんねぇの」

ガシャン、と鉄格子が鳴った。
男が格子を掴んだのだ。

「口説きにきたんだよ」

夜の、強い目でそう男が言った。
「ご冗談を」乾いた声は陸遜の口の中で響いた。

横でその光景をみていた曹丕は背筋に冷たいものを感じた。

はらはらと、壁のような粒の涙をこぼす亡国の婦をまえに甘寧は温度のない表情を浮かべているのだ。
まるで物を見るような表情で、そこにはひとかけらたりとも感情がない。
うちひしがれた真冬の花のようなその姿に、曹丕は心を痛め、手を伸ばしたいと思わずにはいられないのだが、彼の前にいる主・甘寧はそのような感情は微塵も感じさせずに、ただ見ている。何もいわずにただ捕らえられた女に視線を向けているのだ。
いままでいくつもの国を侵略してきた。
亡国の妃妾は残らず王である甘寧の後室にいれられてきた。当初はこの女も先の女たちと同じ運命をたどるのであろうと考えていた曹丕の考えは甘寧の表情でくつがえされた。

彼女たちと目の前で泣く女の違いはなんであろう。

白いうなじをこちらに向けるように涙をこぼす姿を見て考える。
真っ先に思い浮かぶのはその容姿だ。
先に捕らえられた女たちよりも格段に美しい。
絵画から飛び出したかのような、完璧なまでの美貌だ。もしかしたら、曹丕が今まで見てきた女性の中で一番美しいかもしれない。
曹丕の頭に、女よりも美しい人を思い描くことができなかった。
しかし他の女たちとの相違といったらそのぐらいだろう。
捕らえられ、命乞いのために泣く女など幾千といる。むしろ泣かない女のほうが珍しい。
家柄も亡国の姫など後宮にはいくらでもいる。
この女の国の家柄もさほど高くはない。その振る舞いから教養は感じさせるが、事前に調べたところ土着の豪族が権威をもち、やがて国を持つようになったようだ。

あれこれ曹丕が思案を重ねていると、甘寧が女に近づいていった。

「女の武器は涙、だったか」
「おたすけください・・・・」
か細い声で女はそういった。

甘寧は無造作にかがみ、うなだれている女の髪を掴み、無理やり表情をあらわにする。
赤くはれた目に、上気した頬が壮絶な色気を持っている。
寄せられた眉やかみ締めて白くなった唇、震える指先、すべてが彼女のいまの恐怖を物語っているのだろう。

曹丕は息をつめた。
そのぐらいその女は壮烈だった。悲しみ、恐怖、色気がないまぜになって、むせ返るような女のにおいがあたりに立ち込める。
しかし、甘寧は興味をなくしたようにその手を離した。
糸が切れた人形のように力が抜けた女に甘寧は問いかける。

「おまえは、だれを待ってんだ?」

その声に、顔を上げた女の目に一瞬畏怖が宿った。
この場にいた誰もがその一瞬を見逃しただろうが、おそらく甘寧と曹丕だけは気がついた。
「国を失い、家族を失った私が誰を待とうというのでしょうか。私は、あなたにすがるほかないのです」
かすれる声を女は発したが、先ほどの畏怖は甘寧の言葉を肯定してしかるべきものだった。

(なにかある)

初めて曹丕は女に疑念を抱いた。
もしかしたら目の前の女はとんでもないものを抱えているのではないだろうか。
国を預かる執政として、一抹の不安がよぎる。
そして、王である甘寧はこの女をどうするのだろうか。

いつの間にか女は曹丕を見ていた。
深淵をたたえるその瞳に、まるで吸い込まれるような錯覚を覚えた。



―――――――――

それってこいってやつなんじゃなぁ~いっていうソヒさまと甄姫バージョンでした。
甘寧殿ドSぅ!
ちなみに普通にうちのサイトの方針と同じように甘陸と丕甄で考えてます。
いざかいてみたらいつもと同じようにソヒ様→甄姫ですけど!そのうち幸せになるよソヒさま

 

以前すげー萌えた甄姫と陸遜主従の話がまた再燃しました。
依然書いたのを思い出しながらちょこちょこ書こう思います。
テーマは「甘寧殿を嫌いな陸遜」と「ドS甘寧殿」と「かわいそうな甄姫」です。
ドS甘寧、最強だと思います(真顔)

人物紹介
甄姫→ある国の姫。甘寧に滅ぼされ甘寧軍の捕虜になる
陸遜→甄姫の護衛兵。甄姫とともに捕虜になる
甘寧→侵略軍の王様。鬼畜。ドS。でもバカ
曹丕→侵略軍の軍師
バチョ→侵略軍の大将。強い。

以上です。
時系列はまったく無視で書きたいとこだけ書くというまったく優しくない仕様でいきます。

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堂下に引き据えられた甄姫は息を呑んだ。
うちしおれた彼女をまったく冷えた双眸が見つめているのだ。
戦が終わり、この場へ連れられてくるまでに何人の男たちの目にさらされてきた。その目は欲望や哀れみなど、確かに一様に表情を映していた。だが、いま甄姫の目の前にいる男はそれがまったくない。
ただ能のような顔で甄姫を見ているだけに過ぎない。

戦で負けた国の女は自動的に勝利国のものに帰属する。
おそらく甄姫も王の妾に加えられるものだと思っていたが、目の前の能面を見ているとそうは言い切れないようだ。
甄姫は無意識に右手を撫でた。
自軍の敗北が決定したときに自害しようと喉に剣をあてた。それを近衛兵の陸遜が右手をつかむことで阻んだ。
あの時、確かに死ぬ覚悟は決めたはずなのに、いま、死の恐怖に背筋を震わせている。

(生きてください)

くしゃくしゃに歪んだ陸遜の顔が頭から離れない。
もしここで死んでしまったら陸遜はやはり顔を歪めて泣くのだろうか。
甄姫は想像をしてみて、それはそれは恐ろしいことだと思った。
あの優しい子供が泣くなんて許されない。何より自分が許せない。
だからあの時剣を捨て、恥辱を覚悟でこの場にいるのだ。

生きるために、甄姫は静かに涙をこぼした。


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どっかで見たことある!と思ったらこれ平治の乱が終わったあとの平清盛と常盤御前(義経ママ)ですね。
このあと清盛は女の涙にだまされて、常盤を許し、さらに義経兄弟の命を助けてしまうというわけです。
しかし甘寧殿はそんなことなーいと思います。
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