さまざまな骸のその向こうに、ひどく気高くその旗はそびえ立っていた。
おそらく、どの人間の目にも相手方の敗戦はあきらかだ。
兵たちは退路を探すかのごとく右往左往し、将はひとつのほつれを見つけては脱走路を選択する。
もうその軍隊に意思は宿っていないというのに、旗だけが勇敢に、優美に、気高くその身を戦場で主張している。
「あれを操っているやつはよほどのバカか、まれにみる勇者だな」
旗をさして甘寧は言った。
それに曹丕は頷く。
「胆力だけでいうならば、きっとこの戦場の中で誰よりも秀でているでしょう」
旗は軍の象徴である。
兵たちはこぞって敵軍の旗を攻撃する。旗を奪い取ることによって、相手の士気がさがることはもちろんだが、旗は戦勝後の論功賞で大いに加点材料になるからだ。
いま、この戦場は完全に甘寧軍に傾いている。おそらくあの旗には数々の兵士が槍を繰り出し、弓を射ていることだろう。
「あの旗持ち、いいじゃねえか」
そういうやいなや甘寧は馬を駆った。
たなびく旗は、やがて止まることになる。
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たしか年末特番新撰組の土方副長最後の一日の旗持ちがベリーグッ☆ジョブだったと思います。
数々の隊士が倒れる中、きれいに空を舞う旗!
銃創などなどでぼろぼろの体を懸命に使って、まるで旗にすがりつくような感じで旗を振るんですよ!確か!!
その旗があるだけで士気があがり、「まだ俺たち大丈夫だ」っておもえるわけなのです。
その役割とあきらめの悪さとド根性、涙が出るほど大好きです。太鼓たたきも大好きです。
あ、旗持ちエピソード次回に続きます。旗持ちだーれだ、ってかんじでお待ちください。
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